じざいかぎ


 やぶちゃんの代表的な竹作品に、“じざいかぎ”があります。
 じざいかぎは、いろりの火で煮炊きするための鍋や釜をかける道具です。その鍋や釜を自在に上げたり下げたり、また回転させる仕掛けがあることから、じざいかぎ(自在鉤)と呼ばれているそうです。
 今は、いろりがある家はほとんどありません。でもじざいかぎは人気があり、装飾品として様々な形のものが販売されています。

 じざいかぎを見ていると、「いろりを囲んでおじいちゃんやおばあちゃんの昔話を聞く」風景が頭に浮かびます。「遊びと手の労働の教材 ブックレット第50集」の表紙にぴったりのイメージの絵がありますので、引用してご紹介します。

 

引用資料 遊びと手の労働の教材 ブックレット第50集 子ども遊びと手の労働研究会
 
 2008年に、やぶちゃんと鳥取県八頭郡智頭町板井原という集落に、おじゃましました。
 その時、正にこのブックレットの絵の中に入ってしまいました。おじいちゃんたちとの会話は昔話ではなく、伝統的建造物群保存地区でありながら限界集落となっている板井原集落の実情についてでした。この集落には、昭和30年代の日本の風景が今も残っています。私が生まれたのは昭和31年ですので、懐かしいような風景を見ることができました。
 でも残念ながら住むには難しい所です。集落の人はほとんどが高齢者の方ですし、多くの人が村を去ってしまいました。集落づくりのお手伝いをしたいなとも思いましたが、我々の力ではどうしようもありません。
 せっかくでしたので、おじいちゃんたちがつくった炭を買って帰りましたが、じざいかぎで思い浮かぶもう一つの風景を心に刻むことができました。
 
    
板井原集落にて 2008.5.9

 私がじざいかぎを好きな理由は、もう一つあります。
 それは子どもたちのものづくり教室や科学遊び教室にぴったりのテーマだと思っていたからです。昔からあって、簡単につくることができて、それでいて物理の勉強にもなります。やぶちゃんもあちこちで、このじざいかぎを使った竹工作教室を開いています。

 ものづくり教室、科学遊び教室、竹工作教室と、どんな呼び名をつけても、すべてぴったりとくると思いませんか?
 ものづくり教室では、昔の人の知恵を教えることができそうです。科学遊び教室では、回転の力と摩擦が生むバランスを勉強するとでも言いましょうか。竹工作教室では、竹を切ったり穴を開けたりと、道具を使う楽しさを教えることができます。
 呼び方が違う3種類の教室なのですが、やることはまったく一緒です。要は、様々な視点で楽しむことができるということです。楽しみながらものをつくること、やはりこれが基本でした。

 やぶちゃんが鳥取大学のものづくり道場でつくった“じざいかぎレシピ”をご紹介します。

 

自在鈎(じざいかぎ)をつくろう



 
自在鈎(じざいかぎ)のしくみ



 自在鈎(じざいかぎ)と同じしくみです。
 

 おやじのつぶやき 2012.3

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