「つぶやき」とは小声で発する「ひとりごと」だと思っていた。だが今やパソコンやスマートフォン上のツイートとして、世の中に広くモノ申す手法となった。毎日届けられる世間話や多彩な情報に飽きることはない。
一方で、いじめや引きこもり、世間を騒がす社会現象を引き起こす原因にもなるから悩ましい。地球のあちこちで繰り広げられるつぶやき合戦に参戦するには、正しい知識と慎ましい心を持つことが必要だ。
たわいもない「つぶやき」も、才があれば「随筆」という立派な文学作品となる。枕草子、方丈記、徒然草は日本三大随筆と呼ばれ、今も日本人の心を揺さぶる。先人の智や趣、ユーモアたっぷりのつぶやきを見習いたい。
しからば本紙「おやじのつぶやき」を改めて考察してみると、文学作品にはほど遠く、正しい知識や慎ましい心も疑わしい。壁とか空に向かってボソボソと語るのがお似合いとの結論に至るが、それは「つぶやき」ではなくて「ぼやき」と言うそうである。
日本海新聞 2020.03.27掲載
【お礼】 長年、地元新聞に「おやじのつぶやき」というコラムを掲載していただきました。
始まったのは12年前。最初は四半期に1回でした。その後月1回の掲載をいただいて10年が経ちました。
「十年ひと昔」という言葉が頭に浮かびました。
「デジタル大辞泉の解説」を見ますと、「世の中は移り変わりが激しく、10年もたつともう昔のこととなってしまう。また、歳月の流れを、10年をひと区切りとして考えること」とあります。
10年も経ちましたので、「おやじ」は「じじい」になり、「つぶやき」は「ぼやき」になりました。となると、やはりここらで一区切りすべきであろうと思い、今月で「おわり」としました。
コラムニストでもエッセイストでもなく、あえて分類するならば駄文に属する「おやじのつぶやき」を長年辛抱よく掲載していただいた新聞社に、ただただ感謝を申し上げます。
何よりも、多くの方からたくさんの励ましの言葉をいただきましたこと、重ねて感謝を申し上げます。
長い間読んでいただき、本当にありがとうございました。
つぶやき 2020.03.27
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