五輝星(いつきぼし)


今年の鳥取港のズワイガニ初競りで、最高品質のブランド品「五輝星」が一枚500万円で落札された。無粋なおやじはすぐさま脚1本40万円、胴体100万円などと分析したが、鳥取で水揚げされたカニの「素晴らしさ」に付けられた値段であることに気づいて反省しきりだ。

鳥取県資料によると、統計がある昭和27年以降のズワイガニの最高水揚量は、昭和38年の5,280トン。これは私が幼い頃の記録であり、漁師さんとも親交のあったわが家では、確かに毎年たくさんのカニを食べていた。

正式な統計ではないが鳥取県史に記録されている水揚量の多い年は、明治期では明治45年の117トン、大正期では大正10年の363トン。数字をみて、乱獲により水揚量が減ったといわれるのはうなずける。

昔のようにカニを存分に楽しむ時代ではなくなった。しかし資源を保護しながら自然の恵みを堪能することの素晴らしさに価値をつける蟹取県こと本県の取組は、これからの地球環境保全にも通じる大切な姿のような気がする。


 日本海新聞 2019.11.29掲載

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