高齢の母の代理として、祖父の25回忌と高祖父100回忌法要に参列した。祖父との思い出はたくさんあるものの、高祖父のことはまったく知らない。しかしこのご先祖がいなければ私はこの世に存在していないわけだから、礼を欠くことはできない。
約100年の間には4代の歴史があり、父と母、その父、その母とさかのぼれば、計30人となる。はたして何人の名前がわかるのだろうかと思って調べてみたが、半分にも満たなかった。
自分を自然界の一生物と見れば、祖先について何も知らないことを特段恥じる必要はない。せっかくの機会だから祖先に思いを馳せる時間を楽しもうと考えたものの、宗教心には乏しく、古い墓石を前にしても何も思い浮かばない。
結局、子どもの頃に遊んだなつかしい山や田畑の風景を楽しみ、久しぶりに会う親戚の笑顔を喜び、たくさんの心遣いに感謝しただけであったが、ふと、4代先の私の子孫にもこの清々しさを味わってほしいものだ、などと思ったのである。
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