鳥  取
 


改めて主張するのもどうかと思うが、鳥取の子どもたちは、恵まれた自然の中でのびのびと育てられていると思う。自分が生まれ育った地だからといって自画自賛するつもりはないし、郷土を誇りたいがための称賛でもない。鳥取の一住人として、素直に実感していることだ。

鳥取県の環境基本条例の前文冒頭には、「私たち鳥取県民は、名峰大山に連なる緑の山並みと白砂青松の変化に富む山陰海岸に囲まれ、四季の彩り豊かな美しい県土で生活を営み、個性ある産業や文化をはぐくんできた」と、そのすばらしさが簡潔明瞭に表されている。

ところが明治政府内務書記官の記録では少し趣が異なる。要約すれば「中国山系の険しい山々は隣境を分断し、山陰海岸は常に荒れていて近海を通航することもできず、あたかも陸地の孤島である。このような地形だから貨物の運送だけでなく人文知識の交流もなかった」というものだ。

100年以上経っても、とかくマイナスイメージが先行する山陰の田舎である。だが宝島社「田舎暮らしの本」の「2019年版住みたい田舎ベストランキング」で、鳥取市は総合部門・若者世代部門・自然の恵み部門で1位を受賞した。だから改めて鳥取のすばらしさを主張したいわけである。
 日本海新聞 2019.1.25掲載

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