鳥取市賀露町にある浄土宗のお寺「東善寺」は、室町足利十代将軍義植の時代に創建された。鳥取藩士坂本友規らが釧路開拓移民団として賀露港を出発する際の集合場所となったり、戦艦武蔵の最後の艦長である猪口敏平中将のお墓があったりと名も知られている。
納涼祭やコンサートなども開催されて地域の活性化に貢献されているが、私はといえば、お盆のお墓参り以外はほとんど縁がない。あまりに宗教心に乏しい私を見兼ねてか、ご近所の方から、日曜日の朝にお経を読む朝参会に出ろというご指導が入った。
早起きは苦にならないし、たまにはご先祖様にご挨拶をするのもよかろうと思っての参加である。さっそく仏の教えを分かりやすく書いたという法然上人のご法語と、お経を唱える次第の日常勤行式(にちじょうごんぎょうしき)、在家用の半袈裟をいただき、気分だけ一人前の僧侶となった。
そして木魚を叩きながらのお経となるわけだが、当然のことながらまともに読めるわけはない。教本のページをめくるのも、お隣さんをカンニング。雑念だらけで30分が終わった。このお寺は明治になるまでは寺子屋教育の場でもあった。頭を小突かれながら勉強をさせられた昔の子どもになったようで、思わず苦笑したのである。
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