補  修


築25年を経たわが家のあちこちに、破損やひび割れが目立ってきた。生活に特段の支障を感じないものだから無視を続けてきたが、無料点検のお話をいただいたこともあり、重い腰を上げて検査を受けた。その結果、かなりのボロガタが発見され、補修することとなったのである。

とりあえず最低限の補修をと考えたが、ついでということもある。なかなか水が止まらないトイレや蛇口、古くて錆びだらけの換気扇など次々と手を入れることとなった。更には年代ものの給湯器やエアコン、ガスコンロも交換したものだから、補修経費は大幅にアップしてしまった。

かたちあるものは、経年とともに間違いなくボロガタが進行する。ただ、普段からきちんと点検や手入れをしていれば、こんなにお金をかける必要もなかっただろうし、もっと快適な暮らしができたのだろうと反省しきりのところでふと気がついた。

次に補修が必要なのは、すでにボロガタを自覚しているおやじの身体のようだ。年を重ねればこんなものだと思っていたから、しばらく点検もしていない。しかし、わが家の例がある。見栄えや外観の補修意欲はすでに失せているものの、主要構造だけは経費がかさまないうちになんとかしたいものである。



 日本海新聞 2016.9.30掲載


<目次へ>