世の中の動きに全くついていけないことの一つに、コンピュータゲームがある。真剣な顔でゲームを楽しむ我が娘どもの姿を見ていると、情けないと思いつつも、揶揄する言葉は出ない。というのも、私も昔はコンピュータゲームに没頭した。
おやじ世代のコンピュータゲームといえば、当然インベーダーゲームである。喫茶店のテーブルがゲーム機になっていて、テレビほどの画面の上方から迫ってくる敵のインベーダーを、砲台を操作しながら撃ち落とすのは快感だった。攻略法や裏わざなどもあり、本を買って熱心に勉強をしたものだ。
同じゲームでも高い思考力が求められる囲碁や将棋となると、話は少々異なる。知力の勝負は芸術と言っても過言ではない。その芸術分野にアルファ碁という人工知能が現れ、韓国の天才棋士を打ち負かした。コンピュータが人間以上の知力を持ってしまったということなのであろうか。
思考力の限界を悟り、芸術にも縁のないおやじの囲碁能力は永遠の初級である。それを悔しいとは思わない。だが人間様の道具だと思っていたコンピュータが芸術的思考力を持つというのは、正直面白くない。そのうちおやじは人工知能の道具になってしまうのではないかと、悪い夢を見るのである。
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