長年使い慣れた携帯電話を、スマートフォンに替えた。それまでの機種を、世の中ではガラパゴス携帯(ガラケー)と呼ぶらしい。日本独自の発展を遂げた携帯電話をガラパゴス諸島の生物進化に例えたものらしいが、電話とメールしか使わないおやじにはそれで充分であった。
しかし「今ならば安く買える」とか、「通話料が安くなる」とか、「ゲームや音楽も手軽に楽しめる」などと熱心に勧めてくれる娘達のアドバイスに耳を貸してしまった。確かに街中にはスマートフォンを睨んでいる多くの若者を見る。さほど興味はなかったものの、ついその気になったのである。
新機種を手にして驚いた。まず画面に出てくる単語の意味がわからない。当然、機能も使い方も理解できない。ようやくラインというお勧めの機能を設定すると、あっという間にたくさんの友人から絵を送っていただいた。どう対応してよいのか分からず、携帯電話を持っておろおろするばかりである。
その後しばらく、携帯電話の勉強をすることとなった。結果、睡眠時間は少なくなり、生活のリズムも乱れた。そして自分がガラパゴス人間であることを自覚した。そのまま独自の進化をすれば良かったのだが、私の場合は退化というらしい。
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