暑い夏が終わり、ようやく涼しくなってから気がついた。部屋が狭くなっている。世にいうゴミ屋敷なのではと思い、部屋のあちこちに積まれたモノを覗き込む。押し入れを開けてみると無用の長物がぎっしり。これは夏に溜まったゴミだけではなさそうだ。
プリントゴッコに子どものランドセル。得体の知れない電気コードが束になり、もう使わなくなったパソコンソフトや分厚い説明書が埃をかぶっている。ハンガーに掛かっているズボンには出っ張った腹は絶対入らないし、本棚にはいつ買っていつ読んだのか忘れた古本が重なっている。
人間が生活の便を追求した結果たくさんのモノが産まれた、このモノのおかげで豊かなくらしと多くの知識教養を享受することができた…とは思えないくだらないものばかり。一大決心をして処分に取りかかったが、「まだ使えそう」とか「思い出が」とか、根っからの貧乏性が邪魔をする。
最後は目をつむって、手当たり次第にゴミ袋に押し込んだ。他人ごとのにように行き過ぎた物質文化を反省し、精神文化を求めるべきなどと愚痴も言ってみた。しかしいつも使っている鞄より、ゴミ袋の中の鞄の方が良いような気がして、また取り出して・・・やはり部屋は狭いままである。
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