夏の気配を感じはじめると、なんとなくそわそわする。いくつになっても、夏休みは待ち遠しい。そもそも暑熱の中で、学業や仕事がはかどるはずはない。夏の間は心も体も休めてリフレッシュをしたいものである。しかし、満足できた夏休みの記憶は乏しい。
計画はいつも緻密であった。例えば小学生の頃は、宿題は1週間で片付けて、自由研究も2日ほどで仕上げる題材を選ぶ。毎日朝早く起きて、涼しいうちにおもいっきり遊び、更には「1日1回はお手伝い」などと殊勝な目標も立てたものだ。
結果は、涼しいうちは寝て過ごし、日中はマンガなどを見てだらだらと無駄な時間を費やす。宿題はというと、夏休みが終わる直前に泣きながら片付けることになるわけである。そのくせ親になったら「きちんと計画を立てなさい。宿題も遊びも計画どおりに」などと説教をしたものだ。
天賦の才も見あたらず、経済力にも乏しいおやじが短い夏休みを楽しむためには、やはり緻密な計画に加えてささやかな努力が必要だ。スケジュール表を開き、休みの日を決め、短期の目標を設定する。しかし思いつくのは、本棚の整理や壊れかけた倉庫の処分など毎年変わらぬ計画であって、たぶんまた後悔の秋を迎える予感がする。 |