わが家には、猫の額ほどの庭がある。夏はヤブ蚊のたまり場となるため、庭に出たくない。しかし、ただ雑草を眺めるだけではくやしいから、雰囲気だけでも有効に使っていることにしようと、毎年野菜の苗を植えている。
猫の額農園では、「のびのび育成法」を採用している。自然の中でたくましく育ってほしいとの思いで、水は天からもらい、肥料は自力で確保させる。病気にも我慢強く耐え、嫌な虫とも仲良く育ってくれと願うのだ。結果、ジャガイモは直径2センチで、さつまいもはツルだけ。葉物野菜はすぐに消え、果菜のまともな姿は見たことがなかった。
あまりの自由奔放な育て方に、身内からヤジが飛んだ。そこで今季は一大決心をして、肥料を与えることにした。更に草取り、害虫駆除、朝晩の水やりと、初めて「おせっかい育成法」を試みた。すると、なんとスーパーに並べてもよいような立派なキュウリやナスが出来たのである。
横着おやじは、気まぐれな一大決心の成果に感動した。同時に、育てるためには「のびのび」だけではなく、多少の「おせっかい」が必要だということをしっかりと学んだのである。そして、胸騒ぎを覚えた。確かおやじの娘どもも、のびのびと育てたような・・・
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