伝説のスピーチ


イラスト ののはら りこ 「発明は笑える!」より


 20年前の6月、ブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」が開催された。この会議で議論された地球環境問題は、その後、気候変動枠組み条約などの国際条約の成立に繋がった。この会議で注目されたのが、当時12歳のセヴァン・スズキさんのスピーチである。

 「どうやって直すものかわからないものを、壊し続けるのはやめてください」「大人は、私たちに世の中でどうふるまうかを教えてくれます。争いをしないこと、話しあいで解決すること、(略)ならば何故あなた方は、私たちにするなということをしているのですか」
彼女の演説は、後に「伝説のスピーチ」と呼ばれた。

 おやじ族は、子どもたちの素朴な疑問の返答に困ると、ついつい「世の中は思っているほどうまくはいかないものだよ」などとつぶやいてしまう。さらに突っ込まれると、大義名分を振りかざして説き伏せようと試みたりもする。でも「結局、大人もよくわからないんだね」と悟られてしまうのである。

 たくさんの未来を持つ子どもたちの笑い声は、「伝説のスピーチ」のように聞こえる。今、盛んに議論されている消費増税や原発再稼働といった問題を、おやじ族は子どもたちにきちんと説明できるのであろうか。
 
日本海新聞 2012.6.25掲載

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