ごはんといえば
イラスト ののはら りこ

 ごはんといえば、生卵か納豆。
 炊きたてのごはんにかけて食べると、つくづく日本人に生まれて良かったと思う。最近は、お米のほかにもいろいろな穀物を入れたごはんがはやっている。実は私も隠れファンだ。お米に麦、アワ、キビなどを入れて食べると、本当においしい。穀物商品のキャッチフレーズによると「各種ビタミンやミネラル、食物繊維などがたっぷりと含まれている」らしく、これもまたうれしくなる話である。

 主要な穀物を表す「五穀」の起源は、古事記や日本書紀にあるという。そう聞くと神々の世界を思い浮かべ、ますます穀物がありがたく感じる。

 古事記には、「おなかのすいたスサノオノミコトがオオケツヒメノミコトに食べ物を請うたところ、オオケツヒメノミコトが鼻や口、お尻から食べ物を取り出したものだから、怒ってオオケツヒメノミコトを殺してしまった。すると殺されたオオケツヒメノミコトの体からいろいろな植物が芽生えて実を結び、カミムスヒの御祖命(ミオヤノミコト)がこれを集めた」とある。

 解釈には諸説あるらしいが、おやじとしては、五穀は「神の死と引き換えとしてもよいほど大切な食べ物」であると解釈してみたい。

 家庭において賞味期限切れや食べ残しで捨てられる食品は3・7%、一人1日あたり41・0グラムも廃棄されているという(注)。日本は自然の中にたくさんの神をもつ国だ。食べ物を大切にすることはもちろん、穀物を与えてくれる神々に、そして農家の方への感謝を忘れずにいたいものである。

 (注・平成21年度食品ロス統計調査より=農林水産省)
 
日本海新聞 ECO STYLE Tottori 2011.9.24掲載

<目次へ>