おやじの魚料理
イラスト ののはら りこ

 私の趣味の一つに魚料理がある。
 まず港の市場での食材選びから始める。旬の魚選びや調理方法は、すべて店のおかみさんの情報。そして、たっぷりと時間をかけて刺し身や焼き物、煮付けを作りながら、キッチンドリンカーを楽しむ。まったく見栄えのしない素人料理でも、おかみさんから得た情報をおやじのうんちくにすり替えれば、これぞ男の手料理と自慢できるのである。

 先日、このうんちくを二人のお母さんにプレゼントした。
 メニューは「かすべ(カジキエイ)」の空揚げ。ホームページでの情報では、北日本でなじみのある魚とあるが、私は幼いころから食べている。ただ、ほとんどが煮付けだった。友人の奥さんに、ムニエルや空揚げが最高との教えをいただき、以後すっかりはまっている。

 さて、おやじのうんちくを聞いてさっそくかすべを買い求めたお母さん。料理の手伝いをしていた娘さんが、その姿を見て思わず「ぎゃっ!」。料理に手を付けてもらえなかったらしい。もう一人のお母さんは細切りにしたものの、魚の骨が大嫌いな子どもたちの綿密なチェックを受け、結局こちらも食してもらえなかったようだ。

 この話を聞いてすっかり意気消沈のおやじは、世のおやじに示したい。
 魚の下ごしらえはおやじの仕事。
 豪快に骨をバリバリと食べ散らかしてこそ“通”。
 「地元のうまい魚でなければ味わえない、至極の楽しみを子どもたちに教えてよ」と。


 
日本海新聞 ECO STYLE Tottori 2010.10.31掲載

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