バイオディーゼル燃料のこと

イラスト ののはら りこ

 使用済みの天ぷら油を再生してディーゼル燃料にするとは、まったくよく考えたものだ。ドイツでは、早くから菜種油をエネルギーとして利用する試みが始まったと聞いている。日本では、滋賀県愛東町(現・東近江市)で始まった「菜の花プロジェクト」が有名。東京のある企業は、「東京で使われた食用油を回収すれば、東京は大油田」との発想で、10年以上も前からバイオディーゼル燃料の製造を行っている。

 鳥取環境大学が開学した年、おやじたちは教授や学生との酒宴が楽しみであった。話題はもっぱら天ぷら油。天ぷらをつまみに酒を飲みながら語るY教授は、「すべての市内バスをバイオディーゼル燃料で走らせたい」と夢を語った。
 おやじたちは「天ぷら油バスで宴会すれば、匂いをつまみに酒が飲める」と考えた。(実証試験の結果、悪酔いすることが分かり、以後断念)
 また「天ぷら油発電のイルミネーションの下での宴会は楽しいだろう」と、耕運機を改良した発電機に直接天ぷら油を流し込んで発電し、電球をともしたりもした。(発電機の騒音に耐えることができず、以後断念)

 さて、鳥取県でも休耕田での菜の花やひまわりの栽培、使用済み天ぷら油の回収やディーゼル燃料製造の取り組みはずいぶんと進んでいる。イルミネーションとて消費電力の少ないLEDが使われ、住居の庭を飾っている。新たなものを生み出すには発想の転換が必要だが、おやじの発想には限界がある。その原因が不純な動機にあることも、また明白である。
 
日本海新聞 ECO STYLE Tottori 2010.5.29掲載

<目次へ>