ひみつ道具


「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という名言を残したのは「海底二万里」や「八十日間世界一周」を書いたフランスの小説家ジュール・ヴェルヌ。先人が描いた空想の世界は、時を経て着実に実現されている。

私の大好きな漫画ドラえもんの「ひみつ道具」もそうだ。頭に装着すると空を自由に飛べる「タケコプター」は「無人飛行機ドローン」に、食べるだけで何か国語もしゃべることができる「翻訳こんにゃく」は「音声翻訳機」として現れた。

夢やあこがれが身近な所で叶えられ、しかも具現化までの時間は驚くほど短い。ひみつでなくなった道具を眺めれば、新しい夢を見ることもできそうだ。きっと冒険心や探求心を持ち続ける限り、楽しみが尽きることはないだろう。

何よりも、空想を実現してしまう人間の力に感嘆する。聴診器をあてると病気が発見でき、治療までもしてくれるドラえもんのひみつ道具「お医者さんカバン」が、新型コロナウィルスを退治してくれる日は近いに違いない。


 日本海新聞 2020.02.28掲載

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