古代コマ


木工遊びの師匠Y氏が、新作木工おもちゃ「古代コマ」を持ってきてくれた。長方形の杉の木を木工ろくろという道具を使って砲弾型に削ったもので、棒の先に布きれを結びつけた鞭(むち)でたたいて回転させる。

指でひねる「ひねりゴマ」や、ひもを巻きつけて投げる「投げゴマ」はよく遊んだが、たたいて回すコマは初めてだ。たたかないと動かないから「無精ゴマ」とも呼ばれるらしく、無精おやじの私には一段と親しみ深い。

コマの歴史は古く、最古のものはエジプトの遺跡から発掘されたという。日本でも各地の遺跡から出土していて、このコマを眺めていると古(いにしえ)の人々の楽しそうな笑い声が聞こえてきそうだ。

日本の始まりの地は山陰だと思い込んでいる私は、さっそく鳥取県埋蔵文化財センターを訪ねた。なんと古代コマは鳥取の遺跡からも発見されており、現在ご研究中とのこと。おやじの古代への妄想的ロマンは更に膨らみ、毎日頭の中をコマが回り続けている。


 日本海新聞 2019.7.26掲載

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