ノート

    


新年度が始まると、何か新しいことを試みたくなる。学年進級や卒業、入学時のわくわく感と同じだ。思い立つと新しいノートを買って計画などを立ててみる。真新しいノートを開くと、なんとなく力が湧くような気がするから不思議だ。

ノートの1ページ目は、確かに丁寧に書き綴る。しかしページが進むにつれて乱雑になり、そのうちノートの存在さえ忘れてしまう。これを繰り返していたものだから、使いかけノートが何冊も貯まってしまった。

私のこの性格はこどもたちに受け継がれたらしく、親子で貯めたノートに閉口した。10年くらい前にその一部を引き取ってくれた私の姉から、先日ようやく使い終えたとの連絡を受け、ただただ感謝するばかりだった。

今はパソコンを使っているから、ペンで文字を書くことはほとんどない。しかし新しいノートの魅力は失せず、ここぞという時の必需品に変わりない。この新年度こそはきちんと最後まで使おうと決心しながら、文房具店に向かったのである。


 日本海新聞 2019.3.29掲載

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