幼友だち


近所に住んでいるはずなのに、なぜか会う機会がないのが小学生時代の友だち。ましてや県外で暮らす友に会うことはまず難しい。5月の連休、大阪在住のKさんが鳥取に帰ってこられるというので、暇な同窓生3人が集まって帰鳥歓迎会を開いた。Kさんとは約20年ぶりの再会である。

挨拶もそこそこに、白髪が増えたとか腰が痛いなどといった近況報告から宴会が始まる。家族や仕事の話が一段落すると、歳をとったことに少々ため息を交えながらも、孫の話題で盛り上がる。皆、ほころんだ顔に幼顔が重なるから面白い。

Kさんは当時から美人でお姉さんタイプ。いつも明るくて活発だったと思い起こすと、隣に座っているSくんがそうそうと頷く。向かいの席のPちゃんが「ホットパンツで海を走り回っていた女性は少なかったからな」と付け加え、Kさんの目が昔のように悪戯っぽくなる。

友の思い出話は、すべてが新鮮で楽しい。早生まれで肉体的にも精神的にもオクテだった私が知らないエピソードも、たくさんありそうだ。「次は同窓生全員に声をかけよう」と約束したものの、そう簡単に集まれるはずもなく、ついつい「みんな、鳥取で暮らそうよ」などと子どものようなわがままをつぶやくのである。


 日本海新聞 2018.5.25掲載


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