星取県


鳥取県ホームページより


「見上げてごらん〜♪」などと歌を口ずさみながら夜空を眺めていると、世俗を離れたような錯覚を感じるから不思議だ。この時季、アンドロメダ座大銀河やスバルが楽しめるとのこと。しかし星を観察するには、きれいな空気と夜空に光が無いことが条件。人工の光の影響で、国の約7割の人は、天の川を見ることができないそうだ。

星がよく見える鳥取県の夜空は財産だ。財産となると、上手く使いたいものである。美しい星空をネタに観光客を増やすことができるかもしれない。子どもたちにふるさとの心を植え付け、ついでに宇宙の科学でも勉強してみようかという気にもなる。

そんなこんなをギュッと詰め込んだ私たちの県を「星取県」というそうだ。星空の名所を携帯電話で検索できる「星空マップアプリ」には現在34地点が登録されていて、名所を増やすために自分のお気に入りの星空スポットも投稿できる。

そうなると本当に世俗を離れてみたくなる。佐治アストロパークで、子どもたちと一緒に星空観察会と科学教室に参加した。毎日欠かすことのない晩酌もおあずけで、望遠鏡の仕組みや光のスペクトルの勉強だ。だが普段しないことをするとなんとやら。雨の夜空を楽しむこととなったのである。


 日本海新聞 2017.10.27掲載


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