おやじと免罪


一昨年8月、京都のおやじの会Y氏が逮捕されたという知らせが飛び込んだ。世の中には子どもを暴走族から脱会させたり、夜回り途中にトラブルに巻き込まれて公務執行妨害で捕まったすごいおやじたちがいる。そんなこともあって、失礼ながら「Yおやじも頑張っているなぁ」と笑ってしまった。

ところが少し様相が異なっていた。容疑は「児童ポルノ禁止法違反」。たとえ地球が真っ二つになってもYおやじには絶対ありえない罪状である。しかもマスコミ報道は既に犯罪者扱いで、インターネットには見るに堪えない誹謗中傷が並んだ。

直ちに全国のおやじたちが「救う会」を立ち上げ、Yおやじを激励した。しかし長年子どもたちを見守ってきたYおやじの数々の功績は叩き潰され、おやじたちが最も嫌ういじめが容赦なくYおやじを襲った。

この冤罪は、子どもの心を理解しようとしない人々の誤解と猜疑心、更には私怨も絡んだ悲劇だった。何がきっかけで災いが起こるか分からない世相である。それでも「地域の子どもは地域で守る」を合い言葉に、全国で多くのおやじたちが奮闘している。

先月、冤罪の真実と勾留体験を綴った本「二十日間の浦島太郎」が幻冬舎より出版された。機会があれば是非ご一読ください。


 日本海新聞 2017.9.29掲載


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