冬の登校


寒さが苦手なくせに、冬の朝のきりっと張りつめた空気は好きだ。雪で一変した景色の中で朝日を浴びようものなら、何とも神々しい気持ちになる。身体を丸くして登校する子どもに「おはよう」と声をかけると、白い息のあいさつが返ってきた。

そういえば子どもの頃、冬の登校には楽しみがあった。まだ道路の舗装が十分でなくて、あちこちの水たまりに薄い氷が張っていた。足で氷を割るとぱりぱりという音が心地よく、友と争って割るものだから、泥水で汚れたまま学校へ向かうこともあった。

家の軒から垂れ下がった大きなつららを、雪玉で落とすのも楽しかった。氷の破片を友の背中にそっと入れると登校集団は大騒ぎになり、しばしの間道草を食ってしまう。つららができる要因の一つは、部屋の熱が外へ逃げることにあるらしい。今は家屋が良くなったのか、軒先のつららを見ることはほとんどない。

登校する子どもたちの姿と昔の思い出を重ねながら、四季の移り変わりを感じてみるのは面白い。やがて子どもたちの顔ぶれが代わり、今度は年の移り変わりに驚くことになる。また、長くて短い一年が始まった。毎日を忙しく過ごしていると大切なことを見逃してしまいそうで、もったいない気がするのである。


 日本海新聞 2017.1.27掲載


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