三寒四温


わが家の狭い庭の、わずか1平方メートルほどの空き地にジャガイモを植えた。暖かい日だったので汗をかきながら植え付け作業を楽しんだが、その後寒さと雪の日が続き、あの日の陽気は何だったのかと首を傾げた。

昨日の夕食のおかずも覚えていないおやじだから、数日前の天気など覚えているはずはない。気になって気象庁ホームページを調べてみると、今月上旬から中旬までで最も暖かかった日の最高気温は19.5度、最も寒かった日は3.5度と、暖かさと寒さが繰り返している。

春の時候のあいさつにも使われる三寒四温がよく合っていると感心した。しかし気温の乱高下が身体にこたえる歳になり、風流な気分で時季を味わう余裕などない。早く暖かくなれと願ってはみたが、その先に待っている猛暑や熱帯夜の季節を考えると、このままで良いような気もする。

地球の気候が怪しくなり、地球温暖化とか異常気象という言葉も聞きなれた。そのせいでデング熱やジカ熱といった聞いたこともない名前の感染症が世間を騒がせる。そのうち三寒四温のような季節の変わり目を楽しむことは出来なくなるかもしれないなどと心配しながら、庭に積もった雪を眺めて「は〜るよこい♪」を独唱した。


 日本海新聞 2016.2.26掲載


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