アルバム



年の瀬も押し詰まると、身体は動かなくても気持ちだけは忙しくなる。せめて目の前をふさぐモノから片付けようと机に積み上げた雑資料を動かすと、底の方から数年前の写真が出てきた。そういえばこの時期、一年分の写真整理は恒例の作業だった。

いつの頃からかアルバムを使わなくなった。デジタルカメラになってフイルムを写真屋さんに出すこともなくなり、写真の保管場所はカメラとパソコンの中に変わった。しかし横着なおやじは、閉じ込めた写真をもう一度見ようなどとは思わない。

写真は、やはりアルバムに貼ったものがよい。普段は見なくても、本棚に並べているだけで思い出を詰めて整理しているような気になる。何かの拍子で開くことでもあれば、懐かしさでついつい見入ってしまうかもしれないし、間違っても捨てたりはしないだろう。

このままではカメラやパソコンを処分する際に、写真も一緒にゴミになりそうだ。そこで今年の年末作業は写真を印刷してみることにした。だがデジタルカメラの威力はすばらしく、なんともくだらない写真が大量にたまっている。当然印刷作業は直ぐに飽き、印刷を終えたものもやはり限りなくゴミに近い。結局、新しいアルバムはできそうもない。


 日本海新聞 2015.12.25掲載


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