節    目


 就職や結婚、家を建てるとか子どもが産まれるといった人生の節目となるイベントは、それなりに楽しくてうれしかった。だが、年をとってからの節目イベントには、少々頭を抱えてしまう。

 小学校の同窓会の案内が届いた。久しぶりに竹馬の友に会えるのはうれしいものの、案内状にある「還暦同窓会」という文字に引っかかるものを感じた。60歳は生まれた年と同じ干支に還るというところから還暦というそうだが、早い話、長寿のお祝いイベントである。

 お祝いだからお目出度い。でもあまりうれしくない。還暦の象徴である赤いちゃんちゃんこも、いざ自分の番となるとピンクの方がいいなどと駄々をこねてしまいそうだ。更にその先には、古希、喜寿などと次々に節目イベントが準備されている。これ以上年齢を自覚したくないおやじにとっては、迷惑千万である。

 しかし、体のあちこちに衰えを感じているのは事実である。現実をきちんと受け入れなければと考え直した頃、私の母の卒寿のお祝いをした。母は目も耳も悪くなったが、相変わらずしっかりとしている。長生きをしてくれることに感謝し、これからも健康で楽しい人生を送ってほしいと願ったのであり、節目イベントの意義を理解したわけである。

 
日本海新聞 2014.10.24掲載

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