科学遊び



 毎年この時期、おやじたちは科学遊びに興じる。小中学校、高校、大学の先生方と地域のおやじたちで構成するわかとり科学技術育成会が主催する「子ども科学実験教室」は、子どもたちに科学の楽しさ、おもしろさを存分に味わってもらうイベントである。

 おやじたちには懐かしいポンポン船は熱機関の原理。固くなったり軟らかくなったりするビックリームはダイラタンシー現象で、一円玉を通り抜けるビー玉は衝突時に作用する力の応用。簡単な仕組みの中に、たくさんの科学が潜んでいる。

 先日倉吉で開催されたイベント会場では、90名を越える高校生の応援があった。学校の先生やお兄さんお姉さんたちと一緒に遊ぶのだから、子どもたちは楽しいに決まっている。会場のあちこちで歓声が上がり、エアコンが効かないほどの熱気に包まれた。

 科学遊びに難しい理論や方程式はいらない。自然の原理原則を体で知るところに醍醐味がある。おもしろさは子どもたちの創造力や発想力を磨き、楽しさは次のステップへ挑戦する原動力を導く。しかし残念ながら、子どもたちの理科離れは進んでいると言われている。問題は学校教育の中ではなく、人間のご都合が優先する今日の世情にあるのかもしれない。

 
日本海新聞 2013.09.25掲載

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