海底ガス

 愛知県沖の深海の地層から、海底ガスが採掘された。メタンハイドレードという、天然ガスと水とが結合してできた固体の結晶から取り出したとのことである。もしかしたら、これはすごいことなのかも知れない。なにしろ日本の天然ガス消費量の約100年分に相当する量の資源が埋まっているとの試算もあり、日本はエネルギー資源保有大国になってしまう。

 エネルギー資源に乏しい日本は、原油価格の上げ下げに一喜一憂する国である。原発事故の後遺症も残る中で次なる原発稼働を模索しなければならない事情も抱えているのだから、海底ガスへの期待は大きい。 

 しかし、エネルギー資源を取り巻く歴史は、紛争の歴史でもあった。国内紛争はもちろん、隣国との国境問題、資源輸送ルートを巡る問題など、世界のあちこちで様々な紛争を生み出すネタである。

 この海底ガスは、これまでの争いの歴史とは無縁であると信じたい。おやじ族はおめでたい人間であるから、明るい未来しか思い浮かばない。自前で確保できるエネルギー資源の開発に期待し、日本が大きく発展してほしいと願っている。できるならば、エネルギー資源に頼らなくても満足できる豊かな生活がほしいものだと、淡い夢も見るのである。


 
日本海新聞 2013.03.29掲載

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