いじめ

イラスト ののはら りこ


 おやじの心を悩ませる事件が相次いだ。いじめ問題である。幼い命が絶たれるという悲しい結末を聞くと本当にやるせない。学校ばかりに頼っていても難しそうで、おやじたちも学習会を開いて「子育て四訓」なるものを勉強したことがある。

 四訓とは「乳児はしっかり 肌を離すな、幼児は肌を離せ 手を離すな、少年は手を離せ 目を離すな、青年は目を離せ 心を離すな」である。しっかりと心に刻んだのであるが、よくよく考えると、これは親と子の関係だけではなさそうだ。

 子どもを育てるのは、確かに親である。しかし、実際にはたいへん多くの人に育てていただくわけである。祖父母や親戚はもちろん、学校の先生にも、近所のおやじさんやおかみさんたちにもお世話になる。ということは、周りの大人もいつも子どもたちをつかまえておきなさいということだ。大勢の大人の目に囲まれながら人と人との繋がりを覚えれば、きっといじめも無くなるであろう。

 湯梨浜のおやじが自慢する。「子どもたちは、遊びの中でふる里を感じます。ふる里を感じた子どもたちには、優しい心が育まれます。私たちの湯梨浜には、そんな風が吹いています。」
 ふる里の大切さは、いじめ問題の中にもあるような気がする。

 
日本海新聞 2012.9.25掲載

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