オリンピズム


イラスト ののはら りこ 「未来・地球」


 オリンピックは、4年に一度と言わず毎年開催してほしいと願っていた。私の最も古い記憶は、戦後の復興を象徴するあの東京オリンピック。マラソンの円谷選手や東洋の魔女の活躍を見ながら、夜遅くまでテレビの前に釘付けであった。

 何しろ小学校の教室に各国の獲得メダル数が張り出され、学校全体で盛り上がるものだから、夜更かしや未提出のままになってしまった宿題も、やむを得ないものと解した。
4年後、その次の4年後と、オリンピックへの情熱が勉学をさぼるネタだと誤解されるようになると、これに反論をすべくオリンピズムを勉強した。

 オリンピズムとは人生哲学である。「その目標は、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てることにあり、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある。(オリンピック憲章より)」

 7月27日からロンドンで、夏季オリンピックとしては第30回の記念すべき大会が開催される。不本意ではあるが、ひとまず仕事も家事も休止して、冷たいビールでも飲みながら崇高なオリンピズム哲学の世界に浸るとしよう。いやいや、お酒を飲むための口実ではない。世界平和を願ってのオリンピック鑑賞である。がんばれニッポン!

 
日本海新聞 2012.7.25掲載

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