ののはら りこ さん
イラスト ののはら りこ

 おやじの駄文に楽しいイラストを添えてくれる“ののはらりこさん”について、少し紹介したい。
 “ののはらりこ”は、ペンネーム。本名は、ないしょ。
 おやじの娘より少し年上だと記憶しているから、たぶん○○才。
 パッチリおめめのたいへんかわいいお嬢さんである。趣味、特技、彼氏の有無などといったことはまったく知らない。お仕事は建築関係とのこと。仕事の内容については少し聞いたことがあるが、おやじにはよくわからなかった。

 はじめてお会いした時は、彼女はまだ鳥取環境大学の学生だった。あるイベントの出しモノとして、墨と筆で大きな鳥取県地図を描いてもらった。
 「これはきつそうだなぁ」と心配顔でみていると、「うわぁ、たのしい〜 おもしろいよ〜」と満面の笑みを返してくれた。
 そしておやじは、彼女のイラストのファン第1号になった。

   

 彼女が属する学科は、大学の中でも一番忙しい学科であった。建築士を目指していることもあり、宿題やらゼミやらで大忙しの中、おやじたちの暇つぶしにつき合ってくれた。
 当時、私はサラリーマンをしていた。仕事で彼女に環境キャンペーンのイラストを描いてもらったのだが、“ほんわりほのぼの”の絵は今でも私のお気に入りである。
 彼女のイラストには、気取りがない。難しそうな解釈や隠された飾り付けは考えなくていいから単純なおやじにはぴったりだ。
 だから、使い回しもできる。これまで同じ絵を何回使ったことか・・・。
 

ライトダウンイベント (2004)


アイドリングストップキャンペーン (2005)

 絵心のないおやじたちにとって、彼女のイラストはたんへん重宝であった。以来、賀露おやじの会専属イラストレーターとして、たくさんの絵を描いていただくこととなった。
 更には、おやじたちは自分の娘には相手にされないものだから、お手伝いがほしくなるとついつい彼女に頼んでしまう。
 おやじたちの宴会にも、時々顔を出してくれた。むさくるしいおやじたちはいつか愛想を尽かされるだろうと覚悟をしていたものの、おやじたちの何処を気に入ってくれたのかわからないがいつもにこにこ笑顔でつき合ってくれる。
 そしてわがままなおやじのイラスト注文にも、ちゃんと応えてくれるのである。
 

賀露ウィンドタウン構想 (2002)
 

 風車と賀露港 (2006)

 大学を卒業し、県外に就職が決まって鳥取を離れることになった。
 念願の建築の仕事は、県内ではなかなか就職先が見つからないらしい。おやじとしては自分の娘を手放すようでたいへんさみしい思いをしたのであるが、引き留めて就職のお世話をする甲斐性もない。
 「鳥取から離れてしまうのは、残念だなぁ」とつぶやくと、「またお酒を差し入れてあげるね」とお約束。思わず涙であった。

 鳥取を離れてしばらくした後、「仕事に明け暮れる忙しい日々が続いている」との連絡が入った。就職した頃は慣れない仕事と緊張の毎日でくたくたになるのは、おやじも経験がある。でも過ぎ去った辛さはすっかり忘れてしまうというのも、おやじの得意技だ。
 「かわいそうに。身体をこわさないでね。」と励ます言葉とは裏腹に、「時間が空いたら、またイラストを頼みますね。ではさっそく・・・」と無茶な注文も始める。でも「はいはい」と軽やかな言葉が返ってくるものだから、ますます調子に乗って次から次へと注文を入れてしまうのである。
 
  第4回全国おやじサミットinとっとり
ポスター (2006)
賀露おやじの会製作CDジャケット
未来<地球>を守って (2005) 
    
わかとり科学技術育成会 こども科学まつり (2005)
 数年後、就職先を辞めて鳥取に帰ってきた。もともと身体が弱い彼女。昼夜おかまいなしのハードな仕事に身体が悲鳴を上げたとのこと。
 おやじとしては「よくぞ帰ってきてくれた。それではまた・・・」と注文を始めたかったのだが、それはあまりにも都合が良すぎるというもの。体調回復までお預けとした。
 しばらくして鳥取での就職が決まり、また忙しい日々が始まる。
 反対におやじはこれまでのかたい仕事を辞めて、思う存分人生を楽しみ始めた。

 日本海新聞におやじのコラムを投稿し始めてから3年目、おそるおそるおやじのコラムにつき合ってくれないかとお願いをしてみた。最初の2年間は三月に1回の投稿であったため、イラストにまで気にとめなかったのだが、月1回の投稿が始まるとついついおやじの欲が出てしまう。
 どきどきしながら返事を待つおやじに、いつものにこにこ笑顔とOKが帰ってくる。描いて欲しい具体的な像は、まったく伝えない。正確に言うと、駄文の内容もまだ決めていない段階でお願いするのであるから伝えようがないのである。従ってテーマだけ伝えて、後は彼女のイメージに頼った。
 出来上がったイラストは、どれも大々満足。「粗隠し」とは、まさにこのことだ。駄文がそれなりに読めるようになるから不思議なものだ。
 
おやじのつぶやき (2010)
 
発明は笑える (2011)

 新聞へのイラスト掲載が1年ほど続いた時、もう一つ、大切な注文をお願いした。
 おやじは、いつかは本を出したいと密かに考えていた。しかしお金をもらってまで読んでいただく文章を書く自信はまったくない。そこで「粗隠し」をしてくれないかとお願いしたのである。するといつものように、即座に快諾。その返事を聞いてさっそく出版(もちろん自費出版)することを決めてしまった。
 
まだ、校正中…

 おやじは死ぬまでに、あと2冊は本を書いてみたい。
 これまで彼女には満足なお礼もしていないし、書いた本も売れるわけではない。
 いつまでおやじのわがままにつき合ってくれるのか分からないけれど、見捨てられるまでイラストをお願いしたいと目論んでいる。
 
つぶやいた日 2011.09.25

<目次へ>